エイビット、小さな川の水位IoTで監視 – 日本経済新聞

 通信機器開発のエイビット(東京都八王子市、檜山竹生社長)は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を活用し、小さな河川の水位を監視する水害対策システムを開発した。低消費電力で長距離通信できる「LPWA(ローパワーワイドエリア)」と呼ぶ通信技術を活用。八王子市と協力して市内の河川で実証実験を始めた。

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 国が管理する1級河川や都道府県が管理する2級河川は水位を監視する施設が取り付けてあるが、普通の小さな川への設置は十分進んでいない。豪雨で川が氾濫し、土砂崩れなどの被害が起きていることから、水位監視のニーズが自治体で高まっている。

 エイビットのシステム開発子会社、M2Bコミュニケーションズ(同市)と共同で小型で低価格な水位計測デバイスを開発した。全国を多数流れる小さな河川でも橋などに手軽に設置できる。

 内蔵する超音波センサーで水位を5分ごとに測定する。測定データの送信にはLPWA通信規格の1つ「ローラWAN」を使う。消費電力が少なく、内蔵する電池で5年以上の動作が可能という。非常時には測定時間の間隔を短くできる。

 まず、八王子市内を流れる小さな河川の上流と中流、下流の3カ所に水位計測デバイスを設置した。測定データを受信するローラWANの基地局も設け、10日から実証実験を始めた。

 今後、市内の5カ所を流れる小さな河川で、水位計測デバイスや基地局の設置を進める。測定できる場所を早急に増やし、2018年2月まで実験を続ける。

 拓殖大学で電子システム工学が専門の前山利幸教授に技術的なサポートを受け、測定した水位データをどのように活用できるか検証していく。

 小さな河川の水位を監視できれば、自治体はきめ細かい防災情報を住民に提供できる。自治体だけでなく、企業が従業員の安全確保やサプライチェーンを維持するために使う需要も見込む。

 気象情報サービスのハレックス(東京・品川)の協力を得て、周囲の気象データも収集する。人工知能(AI)を活用し、気象データと水位データの相関を調べ、付加価値の高い防災情報を提供ができないか調査する。

 20年までに20の市町村から受注を目指す。

(企業報道部 河合基伸)

[日経産業新聞 7月11日付]

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