米信用情報会社Equifaxの情報流出–影響はどれほどか



 Equifaxが、1億4300万人の米国顧客に影響が及ぶ可能性があるサイバーセキュリティインシデントについて発表したとき、筆者らの最初の反応は、多くの人と同じだった。「自分たちに影響はあるのか、配偶者や家族はどうなのか。クレジットカードの利用記録に十分に注意しなくては。クレジットカードを凍結した方がいいだろうか」という具合だ。Forrester Researchは従業員に対する福祉制度として、クレジットカードの利用状況の監視を行っているため、幸い最初に心配した問題のうち1つはカバーされている。多くの消費者にとって、Equifaxは信用情報会社だという認識であるため、こういった懸念を抱くのは筋が通っている。


 しかし、Equifaxの事業はそれだけではない。Equifaxは消費者向けに、クレジット監視、ID保護支援、クレジットスコア/信用報告などのサービスを提供している。同社は3つの主要サービスを持っており、当然ながら、これらはクレジットの監視やID盗難への対応を重視したものになっている。一方同社は、法人向けのサービスも提供している。これらのサービスのリストを眺めれば、同社のまったく異なる一面を見ることができる。Equifaxは法人向けに57種類のサービスを提供している。例えば、アルファベット順に整理したサービスリストの最初の項目は「Auto Insights for Dealers」(ディーラー向け自動知見提供サービス)などであり、最後は「Visualization And Software Tools」(仮想化およびソフトウェアツール)だ。

 Equifaxは企業にとって重要な存在だ。普通の人は意識していないだろうが、Equifaxは消費者の情報を集めている。しかも、今回の情報流出の範囲に含まれない人たちの情報も握っている。そして、消費者はEquifaxが何を知っているか知らないし、通常はそれを知る手段はない。今回の情報流出は、Equifaxが利用者について何を知っているか、その情報を何に使っているかを意外な形で知る機会になるかもしれない。

 Equifaxは巨大なデータ集約企業であり、情報ブローカーであり、アナリティクス企業だ。同社は情報を収集し、分析し、その情報から知見を生み出している。この作業に使われる情報には、同社のものに加え、ほかの情報収集企業から収集したり、購入したりした情報が含まれる。

 現時点では、どんな情報が流出したか、正確には分かっていない。流出した情報には、Equifaxが他社から入手して集約した情報も含まれている可能性がある。

 今回の情報流出の全容を理解するには、もっと詳しい情報が必要だ。それによって、基本的な個人情報以外に、どのようなデータが含まれていたかが分かってくるだろう。

サイバー犯罪とは限らない

 最初に思いつくのは、Equifaxの情報流出は、クレジットカード詐欺を行うために認証情報を盗もうとした、サイバー犯罪者の仕業ではないかということだろう。過去の事例を考えれば、そう考えるのは自然なことだ。しかしほかの可能性も考えられる。ここでは2つほど挙げてみよう。

 企業からの大規模な資金詐取:情報を使って企業の役員になりすまし、従業員に指示して、多額の資金を国外の偽口座に送金させることが目的かもしれない。個人に関する詳しい情報があれば、なりすましも容易になる。個人を標的としたクレジットカード詐欺ではなく、企業を対象とした大規模な金融詐欺が行われる可能性もあるわけだ。この種の攻撃は、この数年で何度も発生している。

 国家的な諜報工作:流出した情報を利用することで、IDを盗むことも可能になる。IDは投票のための登録情報にも使用できる。2016年の大統領選挙では、米国外の機関が選挙結果に干渉しようとした証拠が残っているとされる。この情報や、選挙の過程でのハッキングを併用して、米国以外の国が2018年や2020年に行われる選挙を混乱させようとすることも考えられる。米連邦政府人事管理局の情報流出事件が起こったあと、米国の諜報機関の情報収集能力が低下してしまったことを考えれば、国家的な諜報工作のために情報流出が引き起こされたとしても不思議はない。

 「もしも」を考えてみることには価値がある。それによって、思い込みが真実であると信じ込んでしまうことを避けられる。では、セキュリティやリスクを扱うプロフェッショナルは、どのような対応を取ればいいのだろうか。考えるべき領域は2つある。個人に対する影響と、企業に対する影響だ。

自分を守るために

 自分の情報は流出していると考えること。今回の情報流出の範囲と深刻さや、これまでに起こったほかの情報流出を合わせて考えると、米国の一般消費者をはじめ、多くの消費者の個人情報は、それを悪用しようとする悪者の手に落ちていると考えた方がいい。それを前提に行動すべきだ。

 クレジット監視サービスを利用すべきだが、Equifaxのサービスは避ける。競合他社のサービスを選び、もし所属企業が従業員向けの福祉サービスとして提供している場合にはそれを利用することもできるし、クレジットカード企業を通じて利用することもできる。



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