サイボウズ、北米でのkintone展開はパブリッククラウドを採用

国内の自社基盤から切り離し、kintone.comを独立して投資

2017年09月15日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

9月11日、サイボウズは北米市場に関するクラウド戦略説明会を披露した。自社開発だったcybozu.comのクラウド基盤を北米では他社のIaaSに載せ、kintone Corporationとして事業展開する。北米で採用するIaaSに関しては、年内に選定を完了する。

クラウドの成長とともに顕在化してきた課題

 登壇したサイボウズ社長の青野慶久氏はまず主力製品群の動向について説明。看板製品であるサイボウズ Officeが5万5000社を超えるほか、kintoneが7000社、Garoonが4200社にまで拡大している。特にサイボウズ Officeに関しては「クラウド化の波でライト層も入ってきている。月に300社くらいの勢いで、発売後20年経って全盛期を迎えている」とアピールした。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

 2011年11月に販売を開始したクラウドサービスであるcybozu.comも順調に成長し、クラウドでの売り上げは算入当時の2011年から約2倍に拡大し、パッケージとクラウドの売上比率も半々になっているという。「パッケージが思いのほか減ってない。安定した売り上げがクラウドへの投資の源泉になっている」と青野氏は語る。パートナーとともにグローバル展開も強化しており、中国で700社、東南アジアで150社、北米でも130社の顧客を獲得。先日はすでに30社程度の顧客を抱える台湾でもオフィスも開設した。また、BoxやZendeskなどグローバルのソフトウェア事業者とのパートナーシップも着々と進めているという。

クラウドの売り上げはすでにパッケージ版と半々のレベルにまで到達

 こうした一連のクラウドサービス展開により、さまざまなものを獲得できたという。売り上げが安定してきたため、投資がしやすくなったことや、安定運用のノウハウも貯めることができた。また、アジア圏や北米での展開を経て、「けっこう売れるんじゃないか」(青野氏)というkintoneの国際競争力も確認できたという。一方で、現地のデータセンターでサービスを運用する必要性が高まってきたほか、サイボウズ Officeやガルーン、kintoneなど世代の異なる製品を運用する難しさも感じてきたという。さらに今後の展開を予定しているヨーロッパへの進出においては、データ保護問題の難しさもあるとのことだ。

「7年前とは全然違う」 汎用IaaSでkintoneのみ展開

 こうした課題を受け、今回サイボウズは北米のkintone.comの基盤に他社のIaaSを採用することを決定。また、北米ではすでにブランドの分離も進んでおり、サイボウズ現地法人も社名をkintone Corporationに変更しているという。

 今回の北米での他社IaaS採用の決定には、さまざまな背景があった。cybozu.comの自社データセンターでの運用を決めたのは、今から7年前の2010年初頭。当時はAWSも東京リージョンが存在せず、サービスや品質面でも不安が多かった。また、価格面も見通しが立てづらく、既存のパッケージ製品まで効率的にクラウド化する必要があったという。「古いアーキテクチャのサイボウズ Officeやガルーンを動かすのは大変だし、安定運用や原価コントロールに不安があった」とのことで、自社でデータセンターを借りて基盤レベルから構築。2万を超える有料契約者数を抱える現在も自社データセンターでサービスの運用を行なっているという。

cybozu.comは自社のデータセンターで運用

 一方で、外部環境は大きく変化した。なによりIaaS/PaaSの機能や信頼性が格段に上がり、クラウド事業者のエコシステムが隆盛している。「7年前と全然違う」(青野氏)ということで、北米展開においては他社のIaaSを採用することになったという。

 現在、北米でのkintone.comはサイボウズ Officeやガルーン、メールワイズなどを隠す形で提供しているが、ユーザー管理や課金、バージョンアップなどで制限が生じている。汎用IaaS上に構築された新しいkintone.comはパッケージ製品の運用や日本市場向けの機能を切り離し、グローバルを見据えたkintoneのみのシンプルな構成で開発と運用を実行できると見込んでいる。

 北米で採用するIaaSは年内に選定を完了する予定で、「スケールした際の価格面や性能、エコシステムなどを重視する」(青野氏)とのこと。開発は来年から開始する予定で、1~2年はかかる見込みとなっている。「グループウェアの市場はほふく前進の市場。急いでは出さない」とのことで、北米での販売体制強化やIaaSに強い人材の採用と並行しながら、徐々に展開していくという。国内のcybozu.comの運用体制に変更はなく、引き続き日本市場に最適なクラウドとして提供する。

パッケージ版、cybozu.com、kintone.comの違い

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