「Data Cloud」とセットで展開するOracleのAI–差別化はクロスアプリケーション

 米Oracleが9月末に開催した「Oracle OpenWorld 2017」の目玉は、運用自動化を進めた最新のデータベース「Oracle Database 18c」となったが、機械学習の利用用途はアプリケーションでも進んでいる。Oracleは2016年のOpenWorldで「Adaptive Intelligence」としてAI戦略を発表、2017年4月に同技術を「Oracle Customer Experience(CX) Cloud」に初めて応用し、今回のOpenWorldではさらに拡大した。

 OpenWorldにて、Oracle Adaptive Intelligenceで製品とデータサイエンス担当バイスプレジデントを務めるJack Berkowitz氏に話を聞いた。

–2016年の「OpenWorld」でAdaptive Intelligenceを発表しました。その後の経緯について教えてください。

Oracle
Oracle Adaptive Intelligence製品・データサイエンス担当バイスプレジデントのJack Berkowitz氏

Berkowitz氏 発表は2016年だが、取り組みを始めたのは数年前だ。

 業務アプリケーション分野で、3つの土台からの変化が起こっている。1つはアプリケーションがデータ主導になっている点。2つ目は機械学習機能の浸透。3つ目はアプリケーションに対するユーザーの期待が変わっている点だ。ユーザーは新しいアプリケーションを望んでいる。より高速で使いやすく、コンシューマー向けアプリケーションのようなインタラクションを備えたアプリケーションだ。ミレニアルなど新しい世代が職場に入ってきており、この人たちはアプリケーションをどう使うかが全く異なる。

 Adaptive Intelligenceは、最初にコンシューマー向け分野から取り組んだ。われわれはBtoCではないが、どうやってBtoCを支援できるかを考えた。Oracleには電子商取引(EC)サイトやウェブサイト、モバイルアプリケーションを構築したり、電子メールキャンペーンなどを展開したりするための技術があり、これに「Data Cloud」を組み合わせることにした。Data Cloudは世界最大級のコンシューマーデータクラウドで、データパートナーが収集したユーザーのプロファイルが数十億人分ある。匿名データだが、これを利用してターゲット広告を展開できる。

 こうやって構築したのが「Adaptive Intelligence apps for Customer Experience(CX)」だ。4月に発表した。最初のアプリは、ユーザーに製品、割引、動画などのコンテンツをオファーする「Adaptive Intelligence Offers」で、サードパーティデータ(広告データ)と、企業が既に知っている顧客情報を組み合わせ、コマースサイトでユーザーに合わせてお勧めの製品を表示したり、電子メールキャンペーンを展開したり、チャットなどができるものだ。現在、早期顧客が導入して試している。今年のOpenWorldでは、ERP、SCM、HCMなど業務アプリケーション全体に拡大した。

–OracleがAdaptive Intelligence戦略を発表したとき、Salesforce.comは「Einstein」としてAI戦略を発表し、一足先に実現しています。OracleのAIの優位性はどこにありますか?

Berkowitz氏 表面的には、一部機能が同じように見える。だが、技術的なアプローチや価値は全く異なる。

 われわれは、すばらしい体験を構築するために、データがシステムに組み込まれるべきだと考えている。「どこに住んでいる」「何が好き」などのデータはコンテキスト(文脈)で、これがないとすばらしい体験を提供できない。OracleはData Hubとビジネスデータの提携により、コンシューマーであれビジネスであれ、コンテキストデータをアプリケーションの一部として提供できる。

 ポイントに対応する“機能”は、(SalesforceもOracleも)同じようなものだが、OracleはアプリケーションをまたぐレイヤとしてAIを考えている。サービス側で何かが起きると、製品のレコメンデーションにもそれが反映される。同じデータ、同じインテリジェンスレイヤを利用しているので一貫性がある。一方でSalesforceの技術は、買収した製品を既存の技術に連携させているだけだ。

 Oracleは、「コネクテッドインテリジェンス」という考えを持っている。サービスで起きたことが、電子メールマーケティングに反映される。これは非常に重要で、顧客もこれを大きく評価している。実際、米国の大手小売に紹介したところ、このようなことがしたかったと喜んでいた。現在、企業がこのようなことをするには人手を必要とするが、Oracleは自動化できる。

 例えば、オンラインアカウントを持つユーザーがある製品を購入し、その製品に問題があったとしよう。そのサービスに連絡した際に、「何を購入したのか?」と尋ねるようでは、カスタマーサービスとは言えない。Oracleにはコネクテッドデータがあり、多数のアプリケーションを備えている。コネクテッドデータとコネクテッド体験で、コネクテッドインテリジェンスを実現している。クロスアプリケーション、クロスドメインは土台からの重要な優位性だ。

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